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日中医学協会ブログ

コロナ禍での大学院訪日受験体験記―全3回シリーズ【第3回】

2021/06/21

コロナ禍での大学院訪日受験体験記―全3回シリーズ【第3回】

 日中笹川医学奨学金制度研究者第43期研究者の葉盛さんが、2021年1月、コロナ禍で訪日し奈良県立医科大学の博士課程を受験しました。
 新型コロナウイルス感染拡大で刻一刻と状況が変わる中、日本入国ビザの申請から受験を終えて帰国するまでの出来事の詳細を手記にして送ってくれましたので、3回シリーズでお届けします。是非ご覧ください。

希望を持ち、努⼒し続けることが⼤切-コロナ禍での⼤学院訪日受験体験記

           葉盛 南京赤十字血液センター成分採血科 副主任医師    

 

    第1回   中国出国までの長き道のり~日本の緊急事態宣言に翻弄されて
    第2回   日本入国から入試の日まで~日本人の優しさに触れて
    第3回   大学院入試から帰国まで~受験できた喜びを噛み締めて

 

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第1回第2回はこちらをクリックしてください)

 緊張しながら、ついに試験当日の1月25日を迎えた。早起きして家を出発し、9時前に奈良県立医科大学大学に到着した。松浦氏が英語試験の受験票をもらいに行くのに同行してくれた。教育支援課の先生の指示に従い、看護学部棟1階にある試験会場へ向かった。受験者は15名で、私は14番だった。松浦氏と別れ、座席表通りに座った。試験の説明時刻まで残り30分、最後の最後まで復習に時間を費やした。

 9時45分に試験監督官が試験用紙を配り、注意事項について説明した。試験は10時から11時30分まで行われた。3題ある英文文献の中から2題を選び、文献の内容に合わせて質問に回答する形式だった。1題目と3題目は新型コロナウイルス関連の内容で、2題目はあまり詳しくない生物学に関する内容だったので、迷わず1題目と3題目を選んだ。1題目の質問は4問あり、3題目の質問は文献要約の記述であった。回答しやすい1題目に30分、残りの1時間を3題目に当てる予定だったが、1題目は簡単そうに見えて、結局30分以上も時間を費やしてしまった。急いで3題目の文献要約を完成させた。輸血部の先輩の酒井先生と久保先生のアドバイス通り、確かに出題内容に比べて回答時間が短く、時間的に厳しかったが、無事に英語試験を終え、試験会場を後にした。会場の外で少し長め目の深呼吸をした。

 午後の教授面接は、比較的リラックスした雰囲気で受けることができた。面接では、将来の研究の方向性について詳細に聞かれ、研究計画について話し合い、的確なアドバイスを頂き、後でじっくり考えてくださいと言われた。午後3時過ぎに試験が終わり、帰宅してゆっくり眠りについた。

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 翌日の26日は、中国駐大阪総領事館指定の新型コロナウイルス検査機関である大阪住吉区にある三和クリニックで、PCR検査と抗体検査を受けた。検査結果は午後4時以降になるとのことだったので、その時刻までクリニックの近くにある長居公園で過ごすことにした。公園で新鮮な空気を吸って、綺麗な景色を眺めた。公園にいる人たちは、互いに安全な距離を保っていた。ここにはテーブルと椅子があるので、弁当を食べることもできる。私はここでのんびりと半日を過ごした。午後4時に再びクリニックに行き、双陰性検査結果を受け取り、QRコードをスキャンして、検査結果をアップロードした。間もなく中国駐日本国大使館からWeChatでメッセージが届き、帰国ためのHSヘルスコードを申請することができた。これで帰国に必要な手続きはすべて完了した。

 27日に家で荷物をまとめ、28日に予約した車が時間通りにアパートに迎えに来た。空港へ向かう途中で輸血部に立ち寄り、生活用品を入れた2つのダンボール箱の一時保管をお願いした。先生方に別れを告げ、空港へ向かった。道中、運転手とずっと話をし、あっという間に時間が過ぎ、1時間程で空港に到着した。空港には車は少ないと予想してはいたが、私たちの車1台だけだったことには驚いた。ロビーに入ると人はさらに少なく、フライト情報の掲示板を見ると、巨大な関西国際空港のその日の運行は7便だけであった。日本に到着した日に運転手が話していた、以前の空港は飛行機が沢山並んでいたという話を思い出した。新型コロナウイルス感染症の流行は、観光・航空業界にも深刻な影響を与えている。そう思うと悲しい気持ちになった。

 帰国の手続きは基本的に入国時と同じだったが、中国の入国書類に記入し、入国用のQRコードを申請するだけで、すぐにすべての手続きが完了した。セキュリティチェックを済ませ、搭乗口で新しいN95マスクと手袋を装着し、搭乗準備を整えた。4~5時間後には隔離先のホテルの部屋ですべての防護用品を外し、ゆっくり休んでいる姿を想像した。

 

 この1か月間を振り返ってみると、困難な時もあったが、笹川同学会や日中医学協会、松本教授や教授秘書の松浦氏、家族や沢山の友人らの温かいサポートのおかげで、私は順調に日本で大学院の入試を受けることができた。どのような試験結果になっても、この経験と感謝の気持ちは一生涯忘れない。永遠に希望を捨てず、永遠に努力し続ける――この言葉は今回の経験から得た心得であり、また、世界中で新型コロナウイルス感染症の収束の兆しが未だ見えない現状下において、我々一人一人が心に銘記すべき言葉であると思う。パンドラの箱が開き、世界中が災いと病魔で満ち満ちている。しかし箱の中には、唯一「希望」という光が残っている。希望を持ち続けていれば、己を鼓舞し続けることができ、一致団結して、勇気を持ってすべての不幸や困難に立ち向かっていくことができる。希望と勇気を持ち、共に手を携えて、新型コロナウイルス感染症を一日も早く収束させ、世界が平穏に戻る日を迎えよう!

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 3月に葉さんから嬉しい知らせが届きました! 博士課程に合格したそうです。おめでとうございます!!
残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で未だ来日が叶わない状況でいるとのことですが、一日も早く感染が収束し、
日本で大学院生活を謳歌できるようになることを祈っています。そうなったら、また手記を寄せてくださいね。